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イヤホン・ヘッドフォンのスペックの読み方ー選び方の基本を解説

イヤホン・ヘッドフォンの選び方

イヤホンやヘッドフォンを選ぶ際、確認することになるスペック表示。

型式やドライバー、音圧、インピータンスなど、あまり聞き慣れないワードが多く、どういったものを選べばよいのか困ってしまうことはありませんか?

 

この記事では、そういった言葉の意味と、実際の音への影響をオーディオ初心者にもわかりやすく解説しました。

イヤホンやヘッドフォンのパッケージ裏の表示を理解できず、オーディオ売り場で立ち往生してしまったあなたも、この記事を読めば5分でマスターできますよ!

 

※あくまで一般論としての解説になります。違う意見を持つ方もいらっしゃることをご了承のうえ、お読みください。

イヤホン・ヘッドフォンのスペック関連のワード一覧

商品によって多少表示の違いがあるものの、イヤホン・ヘッドフォンの箱や商品サイトには、下記のようなワードを使ったスペック表示がほぼ必ずあります。

 

下の写真は、筆者が所有しているDJヘッドフォン、デノン DN-HP500Sのパッケージ裏面にあるスペック表示です。

手持ちのヘッドフォンのスペック表示ここでは、写真中央下のように、「テクニカルデータ」という名目でスペックが記載されています。写真の中央左手にある「特長」の表示には、スペックをもとにした製品のウリが書かれていますね

 

上写真のテクニカルデータ表示にある項目は、

  1. 形式
  2. ドライバー
  3. インピータンス
  4. 出力音圧レベル
  5. 最大入力
  6. 再生周波数帯域
  7. 質量
  8. コード長
  9. 入力プラグ

の10個。

 

このうち、音への影響を大きく及ぼす項目が3つあります。

 

イヤホン・ヘッドフォンのスペックを決める3要素

  1. 形式
  2. ドライバー
  3. インピータンス

まずはこの3つから解説していきましょう。

 

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出力音圧レベルも音への影響がデカいといわれることがありますが、僕はあまり感じていないのでここでは重要項目に含めていません

イヤホン・ヘッドフォンのスペックを決める3要素

上記にあげた3要素は、要点さえ抑えればオーディオ初心者でも簡単に理解できるものばかりです。

これさえ知っておけば、イヤホン・ヘッドフォンの選び方で迷いにくくなりますから、サクッと覚えてくださいね。

1.形式は最重要項目

文字通り、イヤホン・ヘッドフォンがどんな形状になっているかを表したものです。

音の特性はもちろん、装着感も大きく左右するため、最重要項目といってよいでしょう。

 

さて、イヤホン・ヘッドフォンの形式は、

  • 構造形式:イヤホン・ヘッドフォンの形状。ハウジングとも
  • 駆動形式:音を鳴らすドライバーユニットの形状

という2つの項目から成り立っています。

 

上の例に出した筆者のヘッドフォンは「密閉ダイナミック型」と表記されていますね。

これは、構造形式が「密閉型」、駆動形式が「ダイナミック型」ということになります。

 

では、イヤホン・ヘッドフォンそれぞれに、どのような構造形式・駆動形式があるのかを見ていきましょう。

イヤホン・ヘッドフォンの構造形式を知ろう

まずは構造形式からチェックします。

構造形式は3つしかないので、簡単に理解できるはずです。

 

●開放型

音を出す発音部分が外部に開放されている形式。

オープンエアー型とも表現されます。

ヘッドフォンでは外側が網目になっていることも多いため、外見からも区別可能です。

ヤマハHPH-200ヤマハの開放型ヘッドフォン、HPH-200。比較的高価なものが多い開放型ヘッドフォンのなかでは、コスパに優れた1万円台前半の商品です

 

開放型の利点は、中高音を中心に音域が広く高音質を楽しめること。

また、音がこもらないために聴き疲れが起きにくく、長時間の利用に適しています

 

一方で、外にも音を”開放”してしまうため、音漏れが起きやすいことはマイナスポイント。

外部音のノイズも入りやすくなるため、外ではやや使いにくくなってしまいますね。

なお、低音はより外に漏れやすいため、低音域の強さが欲しい方にはあまり向きません。

 

開放型はこんな場合におすすめ
  • 主に室内で音を楽しむ
  • 長時間音を楽しむケースが多い
  • 中高音域の多い曲(女性ボーカルなど)を楽しみたい
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●密閉型

開放型の真逆で、発音部分を密閉した形式。

ノイズが入りにくいので音楽に没頭できるうえ、開放型では逃しがちだった低音もしっかり鼓膜まで届けます。

当然音漏れは起きにくいため、屋外でもバッチリ音を楽しめるのはうれしいところです。

AKG K550筆者が家で愛用しているAKGのK550。楽器のモニターとしても使える音域の広さが持ち味!

 

一方で、イヤホン・ヘッドフォン内に音がこもりやすく、閉塞感を感じてしまうケースも。

また、耳の周囲を密閉してしまう構造上蒸れやすく、個人差はありますが長時間の使用では不快に感じることもあります。

 

密閉型はこんな場合におすすめ
  • 主に屋外で音楽を楽しむ
  • 低音(バスドラムやベース)の音までしっかり聴きたい
  • DJなど、周囲のノイズが多い場面での使用

 

●半密閉型

開放型と密閉型の間を取ったのが、半密閉型です。

安めのヘッドフォンに見受けられることが多く、それぞれの利点を削るかわり、欠点を補っています。

平均点的なアイテムが欲しい方にはおすすめできますが、悪くいえば器用貧乏な面もあるので、特に重視したいポイントがある場合は避けたほうが賢明といえます。

サンワサプライのMM-HS514サンワサプライのMM-HS514。半密閉型は、多くのヘッドセットが採用しています

 

半密閉型はこんな場合におすすめ
  • 1つのイヤホン・ヘッドフォンで家でも外でも使いまわしたい
  • 安価でもコスパに優れたものが欲しい

 

イヤホン・ヘッドフォンの駆動形式は2種類を抑えよう

イヤホン・ヘッドフォンの駆動形式は、音を鳴らすドライバーユニットがどのような形状をしているかにあります。

この形式は煮詰めていくと6つ以上あるのですが、市場で主に出ているのは2つなので、それだけ知っておきましょう。

 

●ダイナミック型

多くのヘッドフォンが搭載するのが、このダイナミック型。

ヘッドフォンだけでなく、一般的なスピーカーはこれが採用されており、多くの音はこの形式によって鳴らされています。

幅広く使われているダイナミック型は、それだけ利点が多い形式なのです。

シュア SE112シュアのSE112。ダイナミック式を採用した本品は、5000円強の価格に見合わぬ高精細な音色で人気を集めています

 

ダイナミック型は、比較的安価ながら広い音域をカバーすることができ、低音にも強いといった特徴を持ちます。

一方で音が大胆な傾向があり、音の繊細さをじっくり楽しみつくしたいのであればこれから紹介するバランスド・アーマチュア型も検討に入れるべきでしょう。

 

ダイナミック型はこんな場合におすすめ
  • 安価でも万能な製品が欲しい
  • 低音域をしっかり聞きたい

 

●バランスド・アーマチュア(BA)型

細かな音の表現に特化した形式がバランスド・アーマチュア型(以下BA型)です。

主にイヤホンに用いられています。

補聴器などにも使われるほどの感度の高さが特徴で、中高音域になる人の声は特に高精細に聞こえるため、ボーカルを楽しみたい方にはうってつけといえます。

 

一方、低音に弱いこと、最大音量が小さくなりがちなこと、比較的高価になってしまうことは欠点でしょう。

PROfundo focus01PROfundoのfocus01。高価なものが多いBA型イヤホンのなかにおいて6000円を切る価格が光り、通販でも支持を集めています

 

 

BA型はこんな場合におすすめ
  • ボーカルの声を細かく聞きたい
  • 室内で使うことが多い

 

おまけ:イヤホンの本体形状について

ここまでで形式の解説は十分なのですが、イヤホンの場合は、インナーイヤー型、カナル型といった本体形状の話が残っています。

それぞれの特徴について、簡単に触れておきます。

 

●インナーイヤー型

Air PodsAppleのAir Podsは、インナーイヤー型ワイヤレスイヤホンの代表格です

 

インナーイヤー型は、インイヤー型とも呼ばれ、耳の内側(耳介)に引っ掛けて使う形状をしています。

この形式のメリットは、装着感が軽いこと。

自分の耳にフィットするものを使えば、イヤホンをしていることを忘れるほど、快適になります。

 

一方、開放型を採用していることが多く、音漏れが顕著です。

屋外で使う際は周囲の反応に気を付けましょう。

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●カナル型

Ginova イヤホンGinovaの完全ワイヤレスイヤホン。Amazonに多い中華製イヤホンのなかでも高い人気を誇ります

 

耳の穴の中に入れて使うイヤホン。

完全ワイヤレスイヤホンなどでおなじみの形式で、遮音性の高さが大きなメリットです。

 

スポーツ用イヤホンに多く見られるように、耳から外れにくいのも長所で、屋外で使うイヤホンなら第一候補になるでしょう。

 

ただし、音を鳴らすドライバーユニットが小さくなってしまうことから音域の弱さがデメリットとなります。

最近では、低音や中高音など一部の音域にフォーカスしたカナル型イヤホンも発売されています。

あなたのこだわりに応じて選択肢としましょう。

 

●耳掛け型

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その名の通り、耳(耳殻)の内側にかけて使う耳掛け式。

 

発音部分の形状は色々ありますが、上の写真はスポンジが耳にあたるタイプのものです。

このタイプはスポンジの周囲からかなりの音漏れが発生し、それは電車やエレベーターの中では必ず注意しなければならないほど。

 

耳当て部がスポンジの製品は、人を選ばない装着感の軽さこそ魅力ですが、イヤホンにおける装着感の軽さは音漏れの大きさに直結するということを知っておきましょう。

 

なお、耳掛け式であっても内部がインナーイヤー型・カナル型になっている製品もあります。

もしあなたが耳から外れにくいイヤホンが欲しいのなら、探してみてください。

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◎形式のまとめ

装着感、音の特性にモロに影響する。最初に決めておくべき最重要項目!

 

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ここまで、形式の話が長くなってしまってすみません!

 

あまりの長さに

「疲れたよ!」

という方もいらっしゃるでしょうが、ここからは一転、超スピードアップします。

記事の残りは、これまでの文章より短いので、ひと休止したら、ついてきてくださいね。

2.ドライバーのサイズが音質を左右する

音の特性を決めるのが形式なら、音質の優劣を決めるのがドライバーのサイズです。

これまでもちらほら触れていますが、ドライバーはイヤホン・ヘッドフォンの心臓であり、音を出す部品にあたります。

そして、これが大きければ大きいほど高音質になるのです。

 

そもそも論:高音質とは?

 

何気なく「高音質」というワードを使いましたが……

音には人による好み(低音が好き、中高音が好き、聞く音楽のジャンルの違いなど)が必ずあるため、高音質という言葉が示す意味が人によって異なってしまうのです。

reviewfunでは「音域の広さ・音の繊細さの総合点」という意味で、音質という言葉をとらえています。

 

ドライバーのサイズは大きければ大きいほど音が良くなりますから、同方式で同価格帯のものから選ぶなら、大きめのものを選んでおくのが無難です。

 

◎ドライバーのまとめ

音質を決定づける要素。できるだけ大きなものを選びたい

3.インピータンスは最大音量に影響

重要項目の最後、インピータンスです。

スピーカーの持つ電気抵抗のことで、Ω(オーム)という単位で表されます。

この数字が大きければ大きいほど抵抗が強い=電気が流れにくくなり、逆に抵抗が小さければ、電気は流れやすくなります。

 

このインピータンスで何が変わるかといえば、イヤホン・ヘッドフォンの音量です。

下のボックス内を見てください。

 

インピータンスと音量の相関

  • インピータンスが小さい場合
    抵抗が小さい=電気が流れやすい=音量は上がる。ただしノイズが増える
  • インピータンスが大きい場合
    抵抗が大きい=電気が流れにくい=音量が下がる。ノイズが減る

 

インピータンスの高低は、イヤホン・ヘッドフォンの用途を参考に決めましょう。

家で静かに音楽を楽しむならインピータンスが高いもの、周囲がガヤガヤした屋外で使うならインピータンスが低いものを選んでください。

 

◎インピータンスのまとめ

音量やノイズの量を決める。迷ったら用途を考えて!

 

編集長
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さらにスピードアップしていきます笑

スペックに関わるほか7つの項目をサクッと説明

やっとこさ、重要事項3点の説明が終わりました。

以降説明する項目は、音や使用感に大きな影響を及ぼすことは少ないですが、人によっては気になることもある部分なので、購入前に確認しておいてください。

4.出力音圧レベルは、音量に影響する

dB/mWの単位で表される出力音圧レベルからは、一定の電力量に対してどれだけ大きな音を生み出せるか知ることができます。

これだけだと説明がややっこしいですが、数値が大きいほど、同じボリュームで再生しても音が大きくなるということです。

※dB=デシベル(音の大きさの単位)、mW=ミリワット(電力量の単位)

 

あなたが一般的な聴力の持ち主であれば、3dB/mW以上の差で音量の違いを感じるとされています。

ただ、それほど大きな差ではないといわれることも多いため、あまり気にしなくてよいでしょう。(筆者はあまり気にしていません)

 

ちなみに、出力音圧レベルのことを「感度」と表現することもあります。

「一定の電力に対するイヤホン・ヘッドフォンの感度」、という意味合いですね。

5.最大入力は、流せる最大の電力量

最大入力は、イヤホン・ヘッドフォンに流せる最大の電力量を表します。

その単位は、出力音圧レベルの部分でも登場した、mWです。

 

この数値が大きいほど最大ボリュームを大きくできることになりますが、プレイヤーから供給できる電力が少なければ、イヤホン・ヘッドフォンがいくら大きな最大入力を誇っていても活かせない長所になってしまいます。

それゆえ、一般的な用途であれば重視せずともよい項目といえます。

 

ただしDJ向けなど、周囲がとてもうるさい、大きな音量が必要な環境で使われる場合は別。

「DJヘッドフォン」などとジャンルの表記があるものなら安心ですが、そうでないものを購入する場合はお会計の前に要チェックです。

6.再生周波数帯域

低音から高音まで、どれくらい広い音域の音を再生できるのかを表した数値です。

単位には、周波数を表すHz(ヘルツ)を用い、「15~28000Hz」と表記します。

 

この数字が小さくなればなるほど低い音、大きくなるほど高い音を出せるということになります。

上に出した例の「15~28000Hz」という記載があれば、低音は15Hzまで、高音は28000Hzまで出せる製品ということですね。

 

こう見れば、数字の幅が大きいほど、再生できる音が広いということになりますが……

ただ、別に再生周波数帯域の数字が広いからといって、必ずしも高音質とは限りません。

単純に、低い音、高い音が鳴る、というだけで、高精細な音というわけではないので、参考程度にしておきましょう。

 

余談ですが、人間の耳に聞こえる音は、20Hz~20000Hz。これより外側の数字は超音波となり、人間の耳には届きません。

7.質量

重さのことです。

 

軽いほど装着感が快適になるので、いま使っているイヤホン・ヘッドフォンとの比較をしてみてもよいですね。

8.コード長

その名の通り、コードの長さ。

完全室内型の大型ヘッドフォンであれば、アンプなどとつなげることを考慮して2m以上の長さになっています。

 

ただ、一般的な製品はポータブル性を意識して作られていますから、だいたい0.6~1.2mくらいに収まります。

やたら長いと外で使うのにおっくうになることもあるので、大型のものを屋外でも使いたいという場合にサッと見ておきましょう。

 

製品によっては、コードが脱着可能になっているものがあります。

つまり、コードが断線してもコードを交換すれば継続して使用可能なのです。

イヤホン・ヘッドフォンの故障はコードの断線が原因となることが多いため、この機構を備えていると心強くなります。

 

イチオシのお高い製品を買う際は、コードが脱着できるか確認してみてくださいね(筆者は必ずチェックしています)

9.入力プラグ

入力プラグの形状や材質について記載されています。

普通は、3.5mmのステレオミニプラグが使われています。

これがアイテムの選び方に影響するケースは、まずないでしょう。

 

なお、DJ用のターンテーブルやアンプに接続する場合、ミニプラグ→標準プラグへの変換が必要になる場合があります。

同梱されていないことがほとんどなので、別途購入してください。

 

 

イヤホン・ヘッドフォンの選び方、おさらい
  • 形式は、音や使用感の特性を決める最重要事項
  • 音質はドライバーのサイズで決まる。同価格帯で迷ったら大きいものを
  • インピータンスは最大音量に影響する
  • 残りの項目は必要に応じてチェック

 

編集長
編集長
最高の相棒と、快適なオーディオライフを送ってくださいね!
ABOUT ME
はたの編集長
はたの編集長
誰もが知っている出版社/IT企業への勤務を経て、フリーライターとして独立。GetNavi webなどの外部メディアへ記事を寄稿しています。本サイトは身の回りのお気に入りガジェットをレビューできればと思いスタートしたのですが、もはやガジェット以外も入り乱れた構成になっております。